ミラン・クンデラと小説
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みすず書房
発売日: 1992-06
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チェコの作家ミラン・クンデラ(1929〜)の最初の長編小説(チェコ語の初版は1965年出版)。映画化もされた「存在の耐えられない軽さ」が最もよく知られている作家であるが、「存在の…」においてみられる彼の小説手法やテーマは、本作品に、すでにあますところなく盛り込まれており、さまざまなテーマや細部間のバランスの絶妙さなど、むしろ本作品の方が完成度は高い部分もあるのではないかと思われる。
舞台は共産党による独裁政下のチェコ。ある生え抜きの共産党員で前途有望な青年が、罪のない「冗談」を告発されたのが原因で転落し、挫折の末に裏切った旧友への復讐をもくろむが…というあらすじだが、国家体制批判が目的の小説ではない。ここでは政治体制の問題は、より普遍的な人間性の問題を扱う際の「レンズ」のような役割を果たしているにすぎない。著者自身は「これはラブ・ストーリーなのです」といっている。
この作品についてもっとも強調すべきは、練りに練り上げられた「作品」としての美しさ、芸術性の高さだろう。ルドウィグ、ヤロスラフ、ヘレナの3者=3主題がかわるがわる一人称の独白で語られていき、最終章ではそれがめまぐるしい渾然一体のコーダへと収斂(しゅうれん)していくさまや、愛や裏切り、卑劣さや絶望などさまざまなテーマが重層的に綾をなしているさま、そして洗練・皮相さに対する重さ・純朴さなどの対比が主旋律と副旋律のように響きあうさまは、さながらシンフォニーを聴いているかのごとくである。そして、醜も、悪も、愚かさも、弱さも、卑劣さも、後味の悪さも、ここでは輝くばかりの晴れ着をつけてそれぞれの短い晴れ舞台を演じている。
「口の肥えた」読者の「洗練された良質の作品」への渇望を満たしてくれることは間違いない。(小野ヒデコ)
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冗談 (Lettres)
ミラン クンデラ, Milan Kundera, 関根 日出男, 中村 猛
みすず書房
発売日: 2002-05
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傑作 こんな物語があるなんて軽い気分で手にとって、気軽な読書、ってな感じでは読めないけど、こういうじわじわと身にしみるような物語を、僕は、これからも読んで行きたいな。世界には、まだまだいっぱいそういう物語が伝わってるだろうから。
(2006-05-04)
全クンデラ作品のなかで(2005-11-23)
「勘弁してくれ、これはラヴ・ストーリーなんだ」恨むことでも愛することでもバランスなどとれなかった静かな崩壊、そこでも、音楽によってその悲しみを想い、また喜びを懐かしむことができるルドヴィーク(とわたしたち)は、一体どこへ行くのだろう。
政治的観点からの批判に対し著者は、「これはラヴ・ストーリー」だと述べた。そう、まったく、これはラヴ・ストーリーなのであった。 (2004-06-18)
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小説の精神 (叢書・ウニベルシタス)
ミラン クンデラ, 金井 裕, 浅野 敏夫
法政大学出版局
発売日: 1990-04
定価: 2,415 円
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小説家の内側クンデラは近代の還元主義を批判し、さらに、小説は自我を完全には捉えられないと言う。すなわち、ハイデッガーの哲学やハイゼンベルグの不確定性原理に代表される「東洋の発見」が、クンデラがヨーロッパの芸術と考える「小説」においても起きていると主張する。これらは現代を理解するキーワードであることからも、クンデラのこの主張は、今後の、もしくは、小説の本来の姿を明らかにするヒントたるかもしれない。インタビューや講演を元にしている為に随所に論理の飛躍が見られるが、このように作品の背景を洗いざらい語るクンデラの勇気は尊敬に値する。 (2005-04-27)
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