ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)


【ユーザーによる評価】 平均評価: 3.0/ 総数: 11件
[3点] 「少女」はすぐに消える
「少女」という存在、概念に関する物語であり、エピソードは全て「少女」の周りに一時渦巻いて、「少女」とともに消えたり現れたりする。
だからそれぞれのエピソードの中には消化不良であったり、謎のまま残ったりする部分があるのだが、テーマ的にはこれで完成しているのだとも思う。
が、この3倍ぐらいの分量で読みたかったのが正直なところだ。 (2008-04-02)
[4点] ジェンダーSFの傑作
過去編と未来編と現代編で構成された長編SF。
桜庭の父は理系の学者だったので、
本人は文系だが、科学解説書を夜伽話として育った桜庭には、
しっかりと本格SFの香りが漂ってます。
未来編がジェンダーSFとして凄い傑作である。
少女が存在しない素晴しい世界!
女性は存在するが、
幼女からあっと言う間に大女に成長してしまうのだ!
男性の方が小柄で性欲を持たず、
大女が男漁りする社会である。
少女というのは近代消費社会に作られた性でしかない。
経済消費の為の性、少女。
ヒット作品は若い女に受けないといけないのだよw
経済社会の為に作られ、壊れ、
買う立場から自らの肉体を売るようになる少女。
17世紀のドイツにタイムスリップした21世紀の女子高生が、
人間扱いされないのも素晴しい。
ドイツ人の10才の少女は、
17才の日本人の女子高生をケダモノだと認識する。
服を着ていたので人間かと思ったが、
服の役目を果たしてないミニスカートを自分の意思ではく人間なんているわけがない。
服を着せられた動物が女子高生。
言語を話しているようにも聞こえるが、
「いたぁい!」「きゃわいい!」「ありがと」「KY」等、
短い音節しか発しないので、動物の鳴き声と認識される。
近代経済社会では、売れる為には、
女子供を敵に回してはいけないという鉄則があるが、
女子供の両要素を持つ少女を、
科学的な正しい視線で馬鹿にした素晴しいSFである。
(2008-03-25)
[4点] つないだものは
 第一部186ページ、第二部120ページ、第三部60ページと一風かわった構成のタイムスリップもののSF小説です。一読すると盛り下がって終わる展開のようにみえますが、そのテーマとタイトルの『ブルースカイ』の意味について考えてみると、一定の基盤の上に成り立っているのがわかります。
 「少女」という概念が存在しない時代、中世のドイツ、近未来のシンガポール、「少女」は2つの時代を渡り、最後に現代の日本に戻ります。その時代にはあるはずのないものが人と人とをつなぎ、その実、どの時代にも共通して存在していた、ということがラストシーンでわかります。
 また各時代の「少女」が存在しない理由が興味深い。大人でも子供でもない少女の時期を経ず大人になる中世、男性よりも女性のほうが早熟で活動的な近未来。時代背景などの書き込みはもの足りませんが、物語の焦点は絞れているかと思います。ただし上記の理由により、典型的なSFよりも小説全体のテーマを重視している内容ですので、本格的なSF小説を期待される方は肩透かしをくらうかもしれません。 (2008-03-24)
[1点] 一人称に世界の説明をさせちゃだめ
一人称で世界観を語るのはすごく難しいのに、あえて(か、無自覚にか)取り組んで、失敗、という感じ。
その世界に住んでいる人間には当たり前なことを、わざわざ説明させている感じがして、いらいらしました。しかもそこで説明される世界にも情景にも小物にも魅力がないのも残念。
イーガンとか光瀬龍あたりの多世界SFをやるにしても、ギブスンばりの「誰も見たことのない世界」を構築するにしても、読み進める内にだんだん世界がわかってくるのが異世界モノの楽しみなのではないでしょうか。
こういった重層構造の世界観は先人がやりつくしているので、少女についての物語を書きたいのであれば、別の手法がいくらでもあった気がします。
とは言え、少女についての物語にもなっていないように思うしなあ・・・。 (2008-03-14)
[4点] 面白い構成、概念の提示
少女を扱った三部構成の小説です。

第一部は、「第一の箱庭」と題され、魔女狩りが盛んな1627年のドイツが舞台です。
第二部は、「第二の箱庭」と題され、2022年のシンガポールです。
第三部は、2007年の鹿児島です。

この構成や、そこに提示される様々な概念は、非常に興味深いものがあります。次元の捉え方なども面白く描かれています。
更には、「少女」「青年」の性格付けは、こんな考え方もあるのかと驚かされます。

全体的に、面白い構成、概念の提示があるのですが、第一部に紙幅を取りすぎていたりして、バランスが良くありません。第二部、第三部をもっとしっかり書いたほうが良かったのではと思います。 (2008-03-13)
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